所属しているケータイラボでは、月に1度のペースで修士課程の大学院生による研究進捗レビューが実施される。工学の先生、社会学の先生、コミュニケーション論の先生(と状況認知の私)が集まり、それぞれの研究室の修士課程の学生が1ヶ月の成果をプレゼンする機会となる。
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その中に銀座のクラブ/キャバクラにおいてフィールドワークを進めている大学院生がおり、非常に興味深く話を聞いた。大学教員同様、「その他のサービス業」に分類されることもあるクラブホステスであるが、その組織について初めてしったことが山ほどあった。
店にいる(関わる)人の分類もそう。オーナーママ、ウリアゲ(雇われママの場合もあり)、ヘルプホステスとバイト。ウリアゲとは顧客をたくさん持っているホステスのことで、その人が店のママになっている場合も少なくない。ウリアゲは完全歩合制で、契約時に目標売上げ数(顧客を毎日◯組以上来店させるなど)が取り決められ、それを達成できないとペナルティがある場合もある。また、ヘルプホステスやバイトの給料は日給の保証性もしくは時給制で、ノルマはあるものの持っている顧客も少ないため、売上げほど厳しい契約はない。
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銀座のクラブで興味深かかった点は、一流のホステス、特に一流のウリアゲは、特定の店だけに閉じているわけではないということ。銀座は街自体がつながっていて、店舗どうしで情報が飛び交う。ある特定の店舗で熟練ホステスとみられたり、ある店舗内でのしあがるだけでは「一流」ではないようである。例えばウリアゲとして銀座で仕事をしていくには、銀座の街全体のネットワークをいかさないと、もしくはそのネットワークが見えてこないとうまくいかない。
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ウリアゲにステップアップする際には異動を伴う場合も多いようだが、その際ヘルプの段階から経験はもとよりそれまで蓄積したコネ、また今勤務している店舗が銀座全体の中でどのくらいのランクに位置しているのか、そういった情報が個人の価値を決定づける。ふらっとやって来ていきなり銀座でウリアゲというわけにはいかない。
銀座で働きはじめた人は、その銀座の中で移動/異動していく場合が多い(ついでにウリアゲが異動したら顧客も移動する)。ホステスのキャリア形成には、当然容姿だとか個人の努力といったものも関係するのだが、「以前この店にいました」「このホステスからの紹介です」といったように、銀座全体の中で自分がどのようなポジションにあるのかを見せる必要がある。
あるホステスのホステスとしての「能力」は、個人の内部に普遍的に「ある」ようなものではないことはもとより、それどころか店舗の中の振舞いだけでもない。銀座という街の中でのポジショニングを考えていかないと、「能力の高いホステス」はどうやらみえてこない。潜在的に非常に興味深いフィールドとなるのではないかと感じた。
